数による合格実績の危うさについて

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 受験シーズンが終了する頃、多くの塾・予備校が合格実績を公表する。実績を公表する理由には大きく二つの側面があるように思う。

 一つは、そうすることが現在通ってくれている、あるいは将来通おうかと考えている生徒やその保護者に対する義務だとする考えである。ちょうど上場企業が決算を公表することと似ている。この考えの場合、合格実績が良ければ良かった、悪ければ悪かったと正直に公表することが大前提となる。嘘の公表は粉飾決算と同様の扱いとなる。
 もう一つは、「どうだ!」と言わんばかりの、数による合格実績公表の考えである。このような公表の仕方は大手の塾・予備校に限られていて、「□□校○○名合格」と、合格した人数を派手に公表する。素人がその合格実績を見れば、「この有名校にこんなに多く合格させているのか!」と判断し、その塾・予備校に子供を通わせようと思うだろう。私から言わせれば、全く愚かな判断である。
 統計的に見て、合格者数が多ければ多いほど、その学校の合格倍率と比例することになる。たとえば、倍率3倍の学校に100名の合格者を出したということは、200名の不合格者を出したことを意味している。しかし、「□□校100名合格」の実績を誇り、それを公表する塾・予備校は、その陰で「□□校200名不合格」の実態は決して公表することはない。
 4月22日の朝日新聞に「大学合格者、市進HDが水増し」との小さな記事が社会面に載っていた。新聞によると、市進HDは昨年度の大学合格実績を東大43人、京大33人と公表していたが、実際は東大15人、京大1人だったとのことである。
 市進ともあろう大手塾がなぜこのような水増し実績を作り出すのだろうか。それは、合格者数がその塾の品質を高めさせ、宣伝効果を高めることにつながるからである。裏を返せば、数の論理に流される消費者がそれだけ多いことを意味している。合格者数を公表するのであれば、同時に受験者数も公表しなければ本当の実績とは言えまい。大切なのは量の多さではなく率の高さであろうと思う。更に言えば、一流校や有名校に合格させることだけが塾・予備校としての実績として誇れることでもないと私は思っている。
 いずれにしても、数による合格実績の危うさに、世の受験生や保護者はそろそろ気づいても良い頃なのではないだろうか。

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