無料であることの責任

画像 「ただより高い買い物はない」とは、昔から言われてきた言葉であり、今さらその意味を確認する必要もない。

 最近では健康食品の宣伝や塾の無料体験などもその類いに入るかも知れない。初めは無料だったり、極めて安価だったものが、続けていくうちに結構な金額を支払った経験をした人は、それほど少なくはないだろう。
 ご恩塾は塾に行きたくても経済的事情で行けない子どもたちのための塾なので、最初から最後まで無料である。どれだけ通ってもあとで金を請求されることはない。だから、ご恩塾に関する限り「高い買い物」をする心配はない。
 ただ、ご恩塾に入るにあたって、保護者の方にひとつだけ条件をお願いしている。それは、学習指導の方法について一切の要望は受け入れない、ということである。本人からの希望は別として、保護者から「このように教えてくれ」とか「この教科のここを集中して教えてくれ」といった要望には耳を貸さないことにしている。
 このことに関しては、設立当初は結構深刻に考えていた。いわゆる「モンスター・ペアレント」の存在で、市役所の方からも「いろいろな親がいますから・・・」と釘を刺されていたところである。幸いにして、今のところそのようなモンスターは現れないし、今後も存在しないだろうと思っている。
 私は、受験生としての経験、指導者としての経験、そしてこれまでに読んだ多くの書物から、小・中学生にとっての理想的な学習方法を心得ているつもりでいる。無料で教える代わりに、私の指導方法に従ってもらいたいし、そのようにすることが結果として学力養成、成績向上につながるものと確信しているからである。
 「どうせタダで教えているんだから責任もないし、そんなに無理しないで適当に休めば?」と、私の健康を心配してくれる方からこのように言われることがある。しかし、私に言わせれば、このことは逆なのである。子どもたちは私の教え方に従って一生懸命勉強している。にもかかわらず成績が上がらず、それどころか下がったりすれば、そのすべての責任は指導者である私にある。むろん、お金をいただいて塾教師をしていたときも、決して手を抜かず、責任を持って指導してきた。今はこれに加えて、別の角度からの責任も重く感じている。

 他所から与えられたカリキュラムに従う必要はなく、個々の生徒にあわせて私の思い通りに指導することができるのは、指導者として喜びであり、気持ちも楽である。そのぶん、強い責任も負わざるを得ない。 
無料であることの責任は重いのである。

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