突然の訪問と人生相談

画像 小学生の授業を終え、次の中学生の授業の準備をしているとき、突然、制服を着てギターか何かの楽器を背負ったかわいい女の子が教室に入ってきた。

 先方は、当然私が自分のことを知っていることを前提として話しかけてくる。私の頭の中には、教室を訪ねてくる子がいるとすれば、SHOSHIN小学部の卒業生しかいないとの観念がある。先方の手前、よだれをたらしたボケ老人のように「あなただれ?」と聞くわけにもいかないので、必死に卒業生の顔を巡らせる。似たような顔の子が一人いた。ただ、その子が突然ご恩塾を訪ねてくるとは思えない。それでも勇を鼓して「私がよくここにいることがわかったね」というと、先方はごく普通に「はい。私、この塾の卒業生ですから」というではないか。「この塾の卒業生」である女の子は一人しかいない。
 もちろん、すぐさま思い出した。数ヶ月前までこの塾で勉強していた子である。それにしても、この数ヶ月でこれほど変わるとは。当時は、アラレちゃんのような円く大きなメガネをかけていて、髪型も違っていた。それがメガネをコンタクトレンズに変えて、全体的にも大人びていた。
 すぐに別人と思い違っていたことを侘び、近況の話になった。進学した高校の生活はとても楽しいこと、中間テストも何とか全教科で平均点以上を取っていることなどを聞き、受験のころ相談を受け、私が勧めた進学先が間違っていなかったことに安堵した。

 そんな話しをしていると授業開始時刻に近づき、生徒たちが集まってきた。偶然、この日は中学生の女子が全員集まる日だった。それぞれ心に傷や悩みを抱えている子たちだったので、1時間目は卒業生の先輩を中心に、女子の雑談会とした。一人だけ参加した男子には、こっそり事情を話し、納得してもらった。私は、最初の1時間は、この男子の数学の授業につきっきりだった。
 明るい先輩と暗い後輩と。いろいろ話している中で女の子たちなりの結論が出たようで、2時間目は卒業生である高校生も交えての勉強に戻った。感心したのは、皆が前の時間の話し合いを引きずらず、勉強に専念していたことである。
 その様子を見て、私は後輩からの人生相談に先輩が見事に対応し、その解決法を共有できたように感じた。これからもご恩塾で知り合った生徒たちは、励まし合い、認め合いながらやっていくことが出来るんだろうと思った。私は何の手助けにもなれない。しかし、私がご恩塾という場をつくったことによって一人の少女が救われ、立ち直ることが出来れば、それも良しか。とも思う。

 ご恩塾の初年度に3人の高校受験生を出し、全員の希望が叶えられたことに私は満足していた。しかしそこまでで、その後卒業生からも、卒業生の親からも何の連絡もなかった。今回、卒業生が訪ねて来て後輩の相談に乗ってくれたこと、しかも同じご恩塾卒業生仲間との連絡も取り合っているとの話を聞き、なにかホッとしている。

 人間、まだまだ捨てたものではない、ということか。あるいはこの繋がりがもっと息の長いものになるか、それはまだ分からない。 

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