やる気

画像 50年ほど前にも大手といわれる塾は既にあった。その代表格としては、日本進学教室と四谷大塚だろう。もう1社、テレビで宣伝するほどに手広くやっていた家庭教師派遣塾があった。塾名は忘れたが、この会社の社長さんは自らを「ふくろう博士」と名乗っていたと記憶している。

 この社長さんのテレビでのメッセージをなぜか今でも忘れられないでいる。そのメッセージとは「やる気にさせます!」のひとことだった。当時、まだ学生で塾や家庭教師とは無縁な私だったが、この「やる気にさせます!」の言葉がその後もずうっとひっかかっていて、記憶に焼きついてしまったのである。当時は、勉強をやる気のない子どもでも、やる気にさせてしまうとは、きっとすごい人なんだなと単純に感心していたのだろう。
 その後、同じ教育の飯を食うようになって長い年月を経た今でも、一人の教師がやる気の無い子どもをやる気にさせることが出来るのだろうかと自問を繰り返している。結論はまだ出ていない。しかし、このことが出来る可能性は千人に一人、あるいはもっと低い率かもしれない。恥ずかしながら、これまでに私が教えた数千人の生徒の中で、まったくやる気がなかったのに、私に教わったことによってやる気になった生徒は恐らく一人もいないと思う。彼らは皆、最初からやる気がなかったわけではなく、両親を始め多くの人々からも刺激を受けてきたはずである。

 ニートと呼ばれる若者たちがいる。少なくとも彼らには働く気持ちも、世の中の役に立とうという気持ちもないのだろう。「働いてどうなるの。なんで世の中の役に立たなければいけないの」あるいは「自分の生き方なんだから勝手にしてくれ」と、こんな意見が出てくることだろう。これを理性や、感情や、道徳を絡めて説得しようとしたところで彼らは聞く耳を持たないだろう。
 不登校の小中学生が、平均してクラスに2~3人はいると聞く。正確な数は分からない。とにかく、不登校の生徒はいる。その原因はここで紹介するまでもなく多方面に及ぶ。この子どもたちを何とか学校に復帰させたいと多くの親や教師は願っている。その気持ちは当然である。しかし、親はともかく不登校の原因が自分ではなくとも教師仲間である可能性もある以上、教師はそう簡単に動くこともむずかしいことだろう。

 ニートの若者にせよ、不登校の子どもたちにせよ、その原因は別として彼らは今「やる気」がないのである。これを一介の教師が「やる気にさせる」ことは、鯨を空に飛ばせるほどの至難の業であると思われる。
 結局のところ、かれらの「やる気」が目覚めるのをじっと待つしかないのではないか。それは、ちょっとしたきっかけかもしれないし、本やテレビ、第三者の発言かもしれない。親や教師たちは、そのきっかけを待つしかあるまい。
 それでも、私は子どもたちを「やる気にさせる」教師になりたい。それには、まだまだ修行が足りず、「ふくろう博士」には遠く及ばない。
 しかし、私にも出来ることはある。それは、勉強への「やる気」がある子どもたちの「やる気を伸ばす」ことである。

 ご恩塾は、困難な家庭環境を抱えた中でも、勉強へのやる気を持った子どもたちの集まりである。生徒たちは皆やる気は持っている。この「やる木」を大きく大きく伸ばすこと、そしてやがて花咲かせること。花が咲いたところは私には見えないだろうが、それも結構。たくさんの大きな花を咲かせたい。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 3

ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック