へんな塾名

画像 新しく塾をはじめるにあたって、塾名をいろいろ考えた。

 はじめは「湘下損塾」と名付けようと思った。むろん、私の尊敬する吉田松陰先生の塾の名を拝借した名前である。湘南台で始めるので松を湘に、やればやるほど損をするので、「損を覚悟」の意味で村を損にしたのだが、あまりにもパロデイーであり、身内から反対論も出たので、あっさり取り下げた。

 私はかれこれ50年近く湘南台で過ごしてきた。この地は親や先祖ともまったく関係が無く、たまたま藤沢市湘南台にある住宅供給公社の団地に補欠で当たったおかげで移り住んだにすぎない。当時は結婚していてしかも大学院に通っていたので、極貧の状態だった。生活費と学費をまかなうために始めたのが塾のアルバイト教師だった。だから、正直に告白すると、初めのうちは崇高な理想を持って塾の教師を始めたわけではなかった。
 その後、独立して湘南台で塾を開き、なんとかここまで生きながらえてきた。思い返せば、私にとって縁もゆかりもない湘南台には大変お世話になってきた。湘南台とその近辺に住むお子さんに勉強を教えることによって人並みな生活ができ、二人の子供を育て上げることもできた。

 塾の経営を後進に託したことにより時間的にも精神的にも余裕ができた今こそ、お世話になったこの地にご恩を返す時であると考えた。それが、生活困窮家庭のお子さんへの無料の学習塾設立である。私にできることと言えば、こんなことくらいしか思い当たらないし、以前からそんな場の必要性を感じていたこともある。
 そこで、塾の名前である。湘南台へのご恩を返すとの意味を込めて、「ご恩返しの塾」とした。「ご恩」は、この地で幕府を開いた鎌倉時代の「ご恩と奉公」に思いを馳せたこと、また「ご恩」をローマ字で表すとGOON、英語表記ではGo onとなる。辞書には、Go onには「前に進む、継続する」の意味がある。貧しさという逆境に耐え、高々とした将来の夢を持って限りなく前へ進む、これからは、そんな子どもたちを育てていきたい、このような思いを込めたネーミングである。
 43年前に私が始めた「湘南台進学教室」が、やがて「湘進」と親しみを込めて言われるようになったように、「ご恩返しの塾」という変な名前もおそらく「ご恩塾」と簡略化して呼ばれるようになると思う。それもうれしいことだが、私の中では「返し」の気持ちを強く持ち続けたいと思っている。 

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック