SFHでの椿事

画像
 鳴り物入りでスタートした「横浜サイエンスフロンティア高校」(以下SFH)で前代未聞の椿事が起こった。

 前任校での数学指導の手腕が買われ、副校長としてSFHに抜擢された教師が、数学の教員免許を偽造していたという。更には、うその東大理学部卒業証明書を提出していたそうだ(朝日新聞7月30日)。
 免許や証明書を偽造することが良くないことであることは言を待たない。問題は、免許や証明書がなければ何もしてはいけないとする今の教育制度の機構にあると私は思う。
 英語の教員免許を持つこの教師は、おそらく数学において、英語以上にその指導の素質があったのだろう。生徒からの授業の評判も良かったという(同、朝日新聞)。ならば、英語だけでなく数学も教えればよいではないか。
教員になろうとすれば、教員免許を取得する必要がある。教員免許を取得するためには、大学で教育に関するどうでも良いような科目の単位を取らなければならない一方、これまた何の役にも立たないどころか、対象となる生徒たちと担当教官には大迷惑の教育実習を経なければならない。教育大学か大学の教育学部でなければ、取得できる教員免許には制限がある。例えば、商学部や経済学部を専攻した学生に与えられる教員免許は社会のみである。今回問題になった副校長も、高等学校の英語と数学の教員免許を両方取得することははなはだ困難だったはずである。

 教師として大切なことは、教えられる生徒にとって分かりやすく、役に立つ授業を行っているかどうかである。教員免許を持っているかどうかなんて関係ない。現に、塾や予備校の教師には教員免許は必要ない。そしてたいていの場合、教師としての評価は学校の教師よりも塾や予備校の教師に軍配が上がる。
 なぜか。それは、はっきり言って塾や予備校の教師の方が優秀だからである。
 いま、公立、私立を問わず学校は「教員免許」という規制に縛られて、多くの優秀な人材を獲得できずにいる。若い頃は教員になる考えはなく、教職とは無関係の大学や学部に進んだものの、社会に出てから教員という仕事に魅力を感じた人がいたとしても、もはや学校の教師になるには手遅れである。このような人たちが塾や予備校へと職場を求めることになる。塾に身を置くわれわれにとっては、ありがたい制度ではある。
 新聞によるとSFHの副校長は、結局退職したそうだ。生徒にとってなんのプラスにもならない最悪の結末である。お役所というところは、どうしてこうも融通が利かないのか。最大の犠牲者は、頑張ってSFHに合格し、希望を持って勉強している生徒たちである。SFHの生徒たちには、きのどくと言うしかない。

 ところで、これは私の勝手な憶測に過ぎないが、全国の中学、高等学校で教鞭を執っている教師たちの全員が、本当に当該教科の教員免許を持って指導しているのであろうか。退職した「元」SFH副校長も、こんな規制だらけの堅苦しい世界から飛び出し、自分の能力と情熱を思い切って発散できる世界で、第二の人生を送ってもらいたい。ただし、偽造は無しで。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック