続・前期選抜廃止論

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 「公立高校入試 推薦選抜各地で廃止」こんな見出しのトップ記事が4月13日の朝日新聞朝刊に載っていた。

 記事によると、埼玉県で2010年度から自己推薦をやめ、事実上の前・後期の一本化を目指すという。和歌山県では既に2007年度から推薦入試(前期)をやめたとのこと。静岡県では今年から前・後期制を一本化した。三重県でも入試制度を簡略化したそうである。
 各地の公立高校で推薦選抜を廃止する方向に方針を転換した理由は、ひと言で言って中学・高校生の学力低下が顕著になってきたことである。前期試験で早く合格を決めたいと願う生徒は、一ランクも二ランクも落として推薦制度で合格を取り付け、入学試験を回避する。そして残る中学生活は勉強もせずに遊んで暮らす。三学期の中学三年のクラスは授業にならないという。
 こんな状態になることは普通の感覚を持つ人間なら、教育者ならずとも容易に予測できたはずである。しかるに、ゆとり教育とか個性を伸ばす教育とか、抽象的な表現で理想論を説き、結果としてこのような事態を招いてしまった行政の責任は大きい。
 それにしても、埼玉県や和歌山県が前期推薦制度の弊害にいち早く気づき、対処したことは結構なことである。神奈川県でも早急に前期選抜を廃止し、フェアな入試制度に戻すべきである。楽をして高校に入学させることが生徒の将来のためにはならないのである。逆に、かつてのように受験の厳しさを教え、受験勉強の辛さ、苦しさを体験させることの方が子供たちの将来にとってはプラスになる。
 現今の制度をうまく活用すれば、小学-中学-高校-大学と、一度も選抜試験を受けることなく、推薦のみで決めてしまうことは可能である。私にはこのことが良いこととはとうてい思えない。一本のワクチンも打たずに大人になるようなものである。結果、世の中に何の抵抗力も持たないひ弱な大人が誕生することになるだろう。
フェアな入試とは、調査書や推薦書などの一切の資料を無くし、入学試験一本で合否を決める入試のことである。更に言えば、入学試験は各校独自の問題で出題すべきである。全県一律の試験問題で合格者を決めるのでは、各高校の自主性がなさすぎる。作問に手間がかかり、その負担が大きいとして、独自入試を敬遠する向きもあるようだが、全くなさけない意見である。我々塾教師は月に数種類のテストを作成している。年に一回くらいの作問がどうだというのか。それすら出来ないようでは教師としては失格である。
 私は、中学から高校への進学の際に入学試験が必要だと言っているのではない。むしろ、多感な中学三年生には受験勉強よりも、もっと高度な学問や芸術に打ち込んでもらいたいと思う。公立の小学校から無試験で地元の公立中学校に進み、そこから推薦で公立高校や私立高校に進学することの弊害を危ぶむのである。高校入学の制度がある以上、そこにはフェアな入学試験があるべきと考える。
 そもそも、6・3・3・4年制という制度は現代社会には既になじまなくなっている。中学三年間と高校三年間を分断させる弊害は大きい。受験は中学入試で経験し、その後は中高六年間一貫教育が望ましい制度だと考える。

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