小学校での英語

画像
 8月27日の夜、NHKのBSで「ディベート・小学生の英語」を放映していた。このことには関心があるので、時間を割いて見た。
 番組によると、小学生の親の70%は、小学校で英語を教えることに賛成なのだそうである。ということは、私は少数意見者になる。

 私は次の理由から小学校で英語を教えることには反対である。
 第一に、学校週五日制になり、それに対応させるべく新学習指導要領が出され、小学校での授業時間が減ったことである。このことの弊害は、新学習指導要領が出された直後から指摘されていた。ここで英語を加えれば、各教科の授業時間数が更に減ることになる。これでは英語どころか、国語や算数も理解できない子どもが増加するだろう。
 第二に、色々なデータを並べるまでもなく、子どもたちの読書量は減り、国語力が低下している今、このことを早急に改善することが重要だと思うからである。国語も出来ない子どもが英語が出来るようになるとは思えない。英語よりも先ず、読書を通して日本の文化を学び、言葉や文章で自分の考えを表現できる子どもを育てることが必要なのではあるまいか。
 第三に、英語を取り入れようとしている理由である。今はグローバル社会であり、どんな人でも英会話が出来なければ通用しない時代だと言われる。そのためにも早期の英語教育が望ましいと言う。果たしてそうだろうか。今、日本人の大部分は英語を含めて外国語の会話が出来ない。それでどれだけの人が困っているだろうか。ほとんどの人が、特に何の問題もなく生活できているのではないだろうか。もしも外国語会話が必要になれば、その時、学べばよいことである。必要もないのに学ばされても覚える意欲はわかないだろう。そもそも会話などは学問ではない。一つの手段にすぎない。

 英語よりも先ず国語、ひと言で言って、これが私の持論である。小学生で英会話を学んでいる生徒も多い。このことは、たとえばピアノや習字を習うのと同じで、個人の問題である。だから、小学生が英会話を学ぶことに対して、とやかく言うつもりはない。小学校で、制度として教えることに問題があると思うのだ。
 こんな考えを持ってテレビを見ていて、もう一つ大きな問題があることを知り、なるほどと思った。
 それは、小学英語を始めるインフラが整っていないという事実である。小学生に誰が英語を教えるのかというと、その中心は小学校の教諭である。思うに、日本全国のあらゆる職業の中で、英語から遠く離れていて、英会話を全く必要としない職業の一つが小学校の先生なのではあるまいか。テレビでも、突然英語を教えることになる小学校の先生の苦労話があった。失礼だが、中学英語の知識もあやしそうな先生も多いだろう。その先生が全国一斉に英語の先生になるのである。これは質の悪い笑い話である。これで小学英語が成功するわけがない。
 外国人補助教師の数も圧倒的に少ないそうだ。英語が話せるネイティブなら誰でもいいというわけにもいかないだろう。わけのわからない外国人を雇ったことで何らかの犯罪につながる可能性だってある。

 「小学生のうちから英語を」と望む親の多くは、単に子どもへの理想を述べているだけなのではあるまいか。誰だって自分の子どもが英会話の出来る子になって欲しいと思う。それと同時にサッカーのうまい子に、かけっこの速い子に、頭のいい子に、かわいい子になって欲しいと思うものである。
 国民のニーズがあると言っても、そのことで十分な体制も整わないうちに見切り発車するのは、国家百年の計を誤ることになるのではあるまいか。

 それにしても、この番組に出ていた著名な評論家の発言はいただけないものだった。100億円の予算で毎年1000人の小学校教師を留学させるのが良いとは、この評論家の提言である。小学校教師が1年の留学で英会話をマスターできるのなら、なにも小学校から英語を教える必要などないではないか。100億円という数字も現実的ではないが、もしもこれだけの金が使えるのなら、一人50万円の予算で20000人の高校生を1ヶ月間ホームステイに送り出すことの方がよほど効果的である。いずれにしても、金の問題ではあるまい。 

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック