勉強に勝つと言うこと

 「うちの子は負けん気が足りない。勝つぞ、という気概がもっとほしい。」保護者面談でよく耳にする母親の言葉である。もちろん、勉強についてのことである。「友達を成績で負かしたい」「もっと順位を上げたい」このような気持ちを子供に持ってほしいとの母親としての願望なのであろう。
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 このような話を聞くたびに、いつも疑問に思う。果たして、そういう気持ちが勉強に必要なのだろうかと。確かに、受験とは競争である。受かる者がいれば、落ちる者もいる。最近あまり聞かなくなったが、受験戦争という言葉もある。しかし、勉強は格闘技ではない。勉強が戦いであるとしても、「勝つ」とか「負かす」戦いではなく、あくまでも自分自身との戦いであるべきだと思う。ちょうど登山家が「そこに山があるから」もっと高い山に挑戦する、そのようなものではないだろうか。
 私自身も若い頃「なぜ勉強するのだろうか」と考えたこともあった。その中で、勝つだの負けるだのという結論にはどうしてもなじめないまま、ここまで来てしまった。こんな甘い考えでは進学塾の経営者として失格なのかもしれない。しかし、受験直前になって「学校なんか休んでうちの塾に勉強に来い」という指導は私にはどうしてもできない。仮に、人をけ落として受験に勝ったとしても、そこにどんな人間性が芽生えるだろう。果たして将来、人から慕われ、世の中の役に立つ人間が生まれるだろうか。私の知る限り、本当に優秀な人たちは実に謙虚で控え目である。ギラギラの競争心むき出しの人は先ずいない。
 勉強とは本来、自己の人間性向上のためにあるはずのもので、そのような気持ちで勉強してきた人は、他人はどうであれ、自ら一歩一歩高い地点に上がっていくことができる。そして、その当然の帰結として、合格を手中に収めることもできる。
 このような理念を理解出来る人が少なくなってしまった。しかし、わずかでも自ら向上を望む子供たちが私の塾の門をたたいてくれることを心から願っている。

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